自己破産後クレカが使えない生活への対処法


みなさんこんにちは。弁護士キャリア30年、かなえ国際法律事務所の杉山です。

今回は「自己破産後、クレジットカードが使えない生活への対処法」というテーマでお話しします。

自己破産をして、裁判所から免責許可決定を受けると、借金は実質ゼロになりますが、その反面生活上のいろいろなデメリットも発生します。

中でもクレジットカードが使えなくなることについて、大きな問題と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

「また、生活費に困ったらどうしよう?」
「このご時世、クレジットカードが使えないと不便になってしまう」

そのように不安に感じてしまう方もいらっしゃるでしょう。

確かに、自己破産をしたことで、クレジットカードを使えなくなることは不便なことです。

しかしその一方で、クレジットカードの利用に代わる対処法もあります。

そのため、クレジットカードが使えなくなる、というデメリットだけを見て自己破産を躊躇うというのは自己破産のもつ大きなメリットと比較して、合理的な理由かというと疑問があります。

そこで今回は、「自己破産後の生活で、クレジットカードが使えない不便さをどう解消するか?」ということについて現役の弁護士である杉山が丁寧に解説したいと思います。

  • 自己破産をすることを躊躇している
  • クレジットカードが使えなくなるから自己破産はしないと言っている友達がいる
  • クレジットカードに代わる決済方法について知りたい


このようにお悩みの方は是非本記事を最後までご覧ください。

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自己破産とは


自己破産とは借金苦に陥ってしまった債務者を救済するための債務整理と呼ばれる法的な手段の1つで、債務者が自ら裁判所に申し立てることによって開始される破産手続のことです。

破産手続きは、支払不能な状態に陥ってしまった債務者の主立った財産で、未払いの債務を清算する手続です。

破産が開始されると、裁判所から選ばれた破産管財人が債務者の財産を管理し、主立った財産をお金に換えて、不充分ながらも債権者に分配します。

自己破産は、債務者が個人である場合、残っている債券について債務者の責任を決めるための免責手続が行われます。

免責手続で裁判所による免責許可決定がなされると、残ってしまった借金について債務者は支払う責任を免除され、その結果借金は実質的にゼロになります。

自己破産は、債務者が自分自身で申し立てることも可能ですが、ほとんどの債務者は慣れない手続きのため、弁護士に自己破産の申立の代理を委任して行っているのが現状です。

受任通知の発送

債務者が、弁護士に自己破産の申立を委任すると、弁護士は、自分が債務者から自己破産の申立の委任を受けたことを債権者に伝えるとともに、債券の現状を調査するために、各債権者に対して手紙を送ります。

この手紙を「受任通知」といい、各債権者は、弁護士からこの受任通知を受け取ることで、債務者について自己破産が予定されているということを知ると共に、督促状を送るなどの取り立てを停止します。

債権者から債権届などが届くまでに弁護士が行う内容は以下の通りです。

  • 債務者との詳しい打ち合わせ
  • 他の書類の準備、作成
  • 裁判所に対し自己破産の申立書を提出


書類の到着後、裁判所が書類などを審査し、破産開始決定をすることで債務者に対しての破産手続が開始されます。
なお、この破産開始決定がなされることで、「債務者」は「破産者」とも呼ばれるようになります。

クレカが使えなくなる

債務者がクレジットカードを使えなくなる時期は、代理人である弁護士が、各債権者に対して受任通知を送りクレジットカード会社が、この事実を知った時点です。

クレジットカード会社は受任通知を受け取り後、代理人弁護士事務所に連絡し「クレジットカードは代理人が回収すること。未回収の場合は回収してハサミを入れる」などの指示をしてきます。

債務者とクレジットカード会社との間で交わされている利用計画の中では、通常債務者の信用状況が悪化したなど、さまざまな場合にクレジットカード会社の側から一方的に契約を解除できることが明記されています。

そのため、クレジットカード会社は、これに基づいて上記のような要求をしてきます。

これらは、各社のクレジットカードの利用規約の中に「会員資格の取消」「会員資格の喪失」などの表現で明記されています。

参照:三井住友カード会員規約
参照:楽天カード会員規約

ところで、債務者の代理人となった弁護士が、受任通知を送るのは、債権者に対してだけです。

そのため、債務者がクレジットカードを持っていても、未使用や未払い料金のないクレジットカード会社に対しては、受任通知は送られません。

そのため、未使用のクレジットカードなどについては、その時点では回収されることもなく、解約もされません。
つまり、事実上使用することが可能です。

弁護士からの受任通知が送られると、クレジットカード会社などは、自社が加盟している信用情報機関に、事故情報として報告します。

その後、信用情報機関がこの事故情報をデータベースに登録し、この情報が加盟しているクレジットカード会社などに共有されます。

これが「ブラックリストに載った」と呼ばれる状態です。
そしてこの状態になると、これまで取引のなかったクレジットカード会社では審査が通らず、クレジットカードを作ることができません。

これは、クレジットカード会社が、審査の際に信用情報機関の事故情報を確認するためです。

このような事故情報の確認は、新規の場合だけでなく、クレジットカードの更新の場合にも行われ、その際に事故情報がわかると、クレジットカードは更新されなくなります。

また、それ以外のタイミングでも、クレジットカード会社が事故情報の存在を知れば、利用規約に基づいて、カードの利用停止や利用契約の解除をしてきます。

弁護士が各債権者への受任通知を送る時点で未使用だったクレジットカードは、事実上使用可能な期間はあるものの、いずれは使用できなくなります。

借金苦を理由にこれから自己破産をする方が、新たなクレジットカードの利用で、さらに債務を増やすのは、本末転倒の行為です。

そして何よりこのような行為は、場合によって免責不許可事由にあたります。裁判所による免責許可決定がなされなくなってしまうおそれがありますので、絶対にやめるべきでしょう。

クレカに替わる方法

自己破産に着手したことでクレジットカードが使えなくなり、不便に感じる方も少なくないでしょう。
ここからはクレジットカードに替わるキャッシュレス決済の方法を見ていきます。

プリペイドカード

第1の代替手段は、プリペイドカードです。

プリペイドカードは、電子マネーとも呼ばれるキャッシュレス決済の手段の1つで、あらかじめ入金されている金額の範囲内で支払いをすることができるカードです。

プリペイドカードには使い切り型とチャージ型の2種類があり、使い切り型は1000円や3000円など、あらかじめ使える金額が入金されているカードを購入して使用するタイプのカードです。

これに対してチャージ型は、入手したカードにチャージ、つまりお金を入金しておき、その金額の範囲内で支払いをすることができます。

チャージ型プリペイドカードのチャージ方法は、カードの種類によってさまざまで、専用機やコンビニのレジなどで現金を支払う方法や、銀行預金口座の残高からチャージする方法などがあります。

チャージ型プリペイドカードの例

  • 流通系「nanaco」「WAON」「楽天Edy」
  • 交通系「Suica」「ICOCA」「PASMO」


他に「VISA」「Mastercard」「JCB」などの国際カードブランドがついたプリペイドカードもあります。

プリペイドカードの場合、あらかじめ金額をチャージしておく必要がありますが、クレジットカードの使用と同じ感覚で、キャッシュレス決済をすることが可能です。

デビットカード

第2の代替手段は、デビットカードです。

デビットカードは、支払いと同時に自分の銀行預金口座からその金額が引き落とされる仕組みのカードです。

デビットカードの場合、プリペイドカードと異なりチャージの必要がないので手間がかからず、クレジットカードの利用に近い感覚で利用できます。

また、自己破産した場合にも、銀行預金口座を持つことが可能です。自己破産をしてもデビットカードは問題なく利用できます。

ただデビットカードの場合は、利用した際に直ちに銀行預金口座から利用した金額が引き落とされるので、その時点での銀行預金口座の残高を超えて利用することはできません。

この点が、クレジットカードを利用する場合と異なるところです。

また、デビットカードの場合は、銀行預金口座に入金しておく必要がありますが、破産開始決定前は、銀行預金口座の残高は債権者によって差し押さえられる可能性があります。

前述したように、弁護士が受任通知を送ると、各債権者は債務者に対する取立を停止します。

すでに債務者に対する勝訴判決などをもっている債権者は、債務者に銀行預金などがあれば、債権者がこれに対して差押さえをすることは可能です。

デビットカードを利用するのであれば、裁判所による破産開始決定の後にしたほうが安全だといえます。

また、債権者の中に銀行や信用金庫などがある場合、デビットカードによる決済用の預金口座は、債権者でない銀行などに用意しておく必要があります。

なぜなら、債権者である銀行などにある預金口座は、弁護士による受任通知とともに凍結されてしまい、残高があれば相殺されてしまうからです。

このような注意の必要はありますが、デビットカードは、クレジットカードの代替手段としては最もクレジットカードに近い感覚で使える、便利なものだと言えます。

デビットカードは以下の2種類があります。

  • J-Debit
  • ブランドデビット


「J-Debit」はキャッシュカードをそのままデビットカードとして用いるキャッシュカード一体型のデビットカードです。

以前はキャッシュカードを発行する際に、デビットカードを付けるかの選択がありましたが、現在は最初からデビットカードの機能が付けられていることも多いようです。

他方、ブランドデビットは「VISA」「Mastercard」「JCB」などの国際カードブランドの付いたデビットカードで、日本国内だけでなく、海外でも利用可能です。

ブランドデビットの発行には申し込みが必要ですが、ほとんどの金融機関ではホームページやアプリなどから申込が可能です。

なお、最近はスマートフォンでの決済も盛んですが、プリペイドカードやデビットカードによる決済は、スマートフォンのアプリからも使用できるので、その点でもクレジットカードの利用と比べて遜色ないと言えるでしょう。

パーソナルカード

第3の代替手段は、パーソナルカードです。

ここまでに紹介したプリペイドカードやデビットカードは、その利用のほとんどの場面において、クレジットカードと変わらずに使うことができますが、唯一、ETCカードには対応していません。

しかし最近は、首都高速や地方の高速道路などでもETC専用の入口が増えているため、ETCが使用できないのは、車を頻繁に利用する人にとっては不便に感じるでしょう。

そこで、クレジットカードの代替手段として使用できるのが、パーソナルカードと呼ばれるETCカードです。
パーソナルカードについては、別の記事でも詳しく解説しておりますので、興味のある方はぜひそちらもチェックしてみてください。
任意整理後も使えるETCカードとは?

家族カード

第4の代替手段は家族カードです。

先ほども説明したように、自己破産をすると、いわゆる「ブラックリストに載った」という状態になり、新規でクレジットカードを作ることは、当分の間できなくなります。

ただし、信用情報に傷が付いた状態になるのは、自己破産をした本人だけであり、配偶者や親、子どもなどの家族の信用情報には傷はつきません。

そこで、家族名義のクレジットカードで家族カードを発行してもらうことは、自己破産をした後でも可能です。

どうしてもクレジットカードが必要な場合は家族に頼み、家族カードを発行してもらう方法があります。

自分で作れるのは?

以上のように、自己破産をして自分名義のクレジットカードが利用できなくなっても、さまざまな代替手段があり、クレジットカードを使用しなくても日常生活上困るような場面はほとんどありません。

とはいえ、実際自己破産をした場合に、一体どの程度の期間が経過したら再び自分名義のクレジットカードを作ることができるのか、多くの人が気になるところかもしれません。

目安としては、免責許可決定から5~7年くらいと言われています。
これは、いわゆる「ブラックリスト」からハズレるまでの期間です。

そこでもし、自己破産をした後に一定期間が経過し、再びクレジットカードを作ることができるかを確認したい場合は、信用機関に自己の情報の開示を請求することで、確認することが可能です。

なお、このように信用情報機関のデータベースから事故情報が消えると、クレジットカード会社が新規発行の審査をする際に、その人の信用情報を調べても事故情報がないので、問題なくクレジットカードが発行されます。

ただそれは、そのクレジットカード会社が自己破産とは無関係な会社の場合です。

自己破産の際の債権者として債権の回収ができなかった会社やその系列会社では「以前この債務者の自己破産によって大きな損害を被った」という情報が、半永久的に社内に残ります。

そのためこの会社に対してクレジットカードの発行を申し込んでも、何年経っても作れない可能性が高いと言われています。
これがいわゆる「社内ブラック」と呼ばれているものです。

まとめ

以上のとおり、自己破産をするとそこから5年~7年くらいはクレジットカードの作成や利用をすることはできなくなります。

しかし今回の記事でお伝えしてきたように、クレジットカードに替わるキャッシュレス決済の手段としては、プリペイドカード、デビットカード、パーソナルカードというものがあり、これらを利用することによって、クレジットカードなど無くてもほとんどの生活場面で困ることはないはずです。

しかし、それでも「いざというときに大きなお金を借りることができないのは不安だ」という人もいるかもしれません。

では、そのような人はどうすればいいのでしょうか?
その答えは以外にも簡単で「貯蓄」です。

自己破産をして免責許可決定を受けることにより、これまで溜まっていた莫大な借金を支払う責任から解放されます。
つまり、借金を返済する必要がなくなり、その分経済的に余裕が生まれます。

そこで、余裕ができた分を使ってしまうのではなく、貯めておくのです。


例えば、生活費やデビットカードの引落しの対象となる銀行預金口座とは別に、貯蓄用の預金口座を1つ作り、そこに毎月必ず3万円を預金することにします。

そうすると、1年後にはどうなっているでしょうか?
その残高は36万円になっています。そして1年半で54万円です。

では3年後はどうでしょうか?
その残高は100万円を超え、108万円となっています。

このくらいの金額があれば、仮に何か突発的なことがあっても、大概のことには対処できるのではないでしょうか?
もはや対処のためにお金を借りる必要はなく、クレジットカードも必要ありません。

大事なことは、ふだんの平穏な生活の中でこのお金を使ってしまわないことです。
そうすれば、ブラックリストから消えるよりもずっと早くに安心感が得られることになります。

そのため、クレジットカードが使えなくなるから自己破産をしたくない、というのは自己破産をしない理由としては合理性がなく、根拠の薄弱なものだと私は思います。
そしてこれは、個人再生や任意整理といった、その他の債務整理についても同じく言えることです。

治療をしなければ、病気や怪我の苦しみは続きます。
これと同様に、借金問題もこじらせてしまったら、治療が必要となります。
慣れないことは誰でもイヤですが、それでも勇気を出して医者に行くように、勇気を出して弁護士の事務所に相談してみましょう。

私の在籍するかなえ国際法律事務所でも、自己破産やその他の債務整理、また離婚や相続などさまざまな法律問題についての相談や弁護依頼を受けていますので、必要があればお気軽に声をお掛けください。

また当事務所では、公式LINEからも簡単にお問い合わせができるようにしておりますので、身近に弁護士の知り合いがいないという方は、この機会にお友だち登録してみてはいかがでしょうか?


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