こんにちは、弁護士キャリア30年、かなえ国際法律事務所の杉山です。
今回は「おまとめローンと任意整理、どっちが得?」というテーマでお話しします。
皆さんも「おまとめローン」や「任意整理」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。
どちらも借金返済を楽にするための方法ですが、その違いやメリット・デメリットを曖昧な理解のまま選ぶと、後悔する可能性があります。
今回の記事では、おまとめローンと任意整理の違いと、それぞれのメリット・デメリットについて、現役の弁護士である、杉山が、いつものように丁寧に解説していきまたいと思います。
借金問題で悩んでいる方、これらの手段を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。
おまとめローンとは
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おまとめローンとは、複数の借入を一本化するために新たにローンを組む方法です。
銀行や消費者金融などの金融機関が提供している商品・サービスで、複数の借入先に対する返済を一つにまとめることを目的としています。
この方法により、複数の返済を一本化し、月々の返済管理が簡単になります。
具体的には、債務者が複数の金融機関から借り入れている債務を新たなローンに組み替え、一つの金融機関に対して返済していく方法です。
おまとめローンのメリット
おまとめローンの最大のメリットは、返済管理を簡略化できる点です。
複数の借入先に対する返済を一つにまとめると、毎月の返済管理が非常に楽になります。
例えば、5つの金融機関から借り入れている場合、それぞれに対して異なる返済日や金額を管理するのは大変です。
しかし、おまとめローンを利用すれば、一つの金融機関に対して一定額を返済するだけで済むため、返済の煩雑さが解消されます。
さらに、おまとめローンは新たな借入条件が有利になる場合があります。
例えば、現在の借入金利が高い場合、より低金利のローンに借り換えると、総返済額が減少し、月々の返済負担が軽減される可能性があります。
また、返済期間を延長すると、月々の返済額を抑えるのも可能です。
これにより、生活費に余裕が生まれ、家計管理がしやすくなります。
おまとめローンのデメリット
おまとめローンにはデメリットも存在します。
まず、おまとめローンを利用するには審査が必要で、信用情報に問題がある場合には審査が通りません。
金融機関は、貸付に対するリスクを評価し、返済能力が低いと判断した場合には、ローンの提供を拒否します。
そのため、信用情報に問題がある人にとっては、おまとめローンの利用が難しい場合があります。
さらに、おまとめローンの金利が現在の借入金利よりも高い場合、返済総額が増えるリスクがあります。
特に、返済期間が延びると、総返済額が増加する可能性があります。
また、おまとめローンを利用しても、新たな借入を行ってしまうと、再び借金が増えるリスクもあります。
計画的な返済を行わないと、借金問題が再発する可能性があるため、注意が必要です。
任意整理とは
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任意整理は、債務整理の一つであり、借金返済が困難になった債務者を救済するための法的手続きです。
弁護士や司法書士が債権者と交渉し、返済条件の変更を求めれば、債務者の経済状況を改善できます。
任意整理は、自己破産や個人再生と比べて、比較的穏やかな方法であり、債権者との合意によって返済計画を立て直すのに有効です。
任意整理のメリット
任意整理の最大のメリットは、将来利息のカットによる返済総額の減少です。
通常、任意整理では、債権者と交渉して将来の利息をカットできるため、債務者は今後発生する利息分を支払わずに済み、返済総額が大幅に減ります。
また、債権者との交渉により、返済期間を3年から5年程度に設定し、無理のない返済計画の立案が可能です。
これにより、債務者は毎月の返済負担が軽減され、経済的な安定を取り戻せます。
さらに、任意整理は、弁護士や司法書士が交渉を代行するため、債務者自身が直接債権者と交渉する必要がなく、心理的な負担が軽減され、スムーズに手続きを進められます。
任意整理のデメリット
任意整理にはデメリットも存在します。
まず、任意整理を行うと、信用情報に事故情報として登録されます。
これにより、一定期間(通常は5年程度)、新たな借入やクレジットカードの発行が難しくなります。
一定期間の間、金融機関からの信用が低下し、ローンやクレジットカードの利用が制限されるため、生活に不便が生じる可能性があります。
また、任意整理では、元金の大幅な減額は期待できません。
返済条件の変更により、月々の返済額や総返済額が減少するものの、元金自体の減額は限られています。
そのため、大きな債務を抱えている場合には、他の債務整理方法(例えば個人再生や自己破産)の検討が必要です。
おまとめローンと任意整理の共通点
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おまとめローンと任意整理の共通点は、どちらも借金返済の負担を軽減するための方法で、月々の返済額を抑え、返済計画を立てやすくなる点です。
おまとめローンや任意整理を利用すると、借金返済に伴うストレスや悩みが軽減し、経済的な安定を取り戻せます。
また、どちらの方法も債務者の返済能力に応じた返済計画を立てられるため、無理のない返済が可能となります。
もう一つは、返済計画を立てると、将来の見通しが立ちやすくなり、安心感が得られる点です。
借金問題を解決すれば、精神的な負担が軽減され、日常生活における不安や悩みを減らせます。
おまとめローンや任意整理をうまく利用し、より前向きな気持ちで生活を送りましょう。
おまとめローンと任意整理の比較
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おまとめローンと任意整理はどちらも借金問題を解決するための方法ですが、それぞれの特徴やメリット・デメリットには大きな違いがあります。
ここでは、以下の観点からおまとめローンと任意整理を比較してみます。
- 審査と利用条件の違い
- 返済総額の減額程度
- 信用情報への影響
- 家族などに知られるリスク
審査と利用条件の違い
おまとめローンは、金融機関の審査が必要です。
信用情報に問題がなければ利用可能ですが、審査に通らなければ利用できません。
例えば、過去に返済遅延があったり、現在の収入が不安定であったりすると、審査が通らない場合があります。
一方、任意整理は法的な手続きであり、特別な問題がなければ債権者との交渉により返済条件の変更が可能です。
弁護士や司法書士が債権者と交渉し、返済計画を立て直すため、信用情報に問題があっても利用できます。
ただし、返済可能な範囲内での計画が必要であり、無理のない返済計画の立案が求められます。
返済総額の減額程度
おまとめローンでは、利率や返済条件によって返済総額が増減します。
例えば、現在の借入金利が高い場合、より低金利のローンに借り換えると総返済額が減少します。
しかし、借入金利が低い場合や返済期間が延びてしまうと、最終的な返済総額が増えるリスクもあります。
任意整理では、将来利息のカットにより確実に返済総額が減ります。
通常、任意整理は債権者と交渉して将来の利息をカットできるため、利息分の支払いが不要です。
これにより、返済総額が大幅に減少し、月々の返済額も抑えられるため、返済負担を軽減できます。
信用情報への影響
任意整理を行うと、信用情報に事故情報として登録され、新たな借入やクレジットカードの発行が難しくなります。
これは、金融機関が信用情報を基にリスク評価を行うためです。
任意整理による信用情報の影響は、通常5年程度続きます。
一方、おまとめローンでは、通常手続きのため、信用情報への影響はありません。
新たな借入先に対する信用力が求められるため、信用情報に問題がなければ、通常のローンと同様に利用できます。
このため、信用情報への影響を避けたい場合には、おまとめローンが適していると言えます。
家族などに知られるリスク
任意整理は弁護士や司法書士が債権者との交渉を代行するため、家族に知られずに手続きを進められる可能性があります。
手続きは法的に行われるため、プライバシーが保護されやすく、弁護士や司法書士が債権者とのやり取りを行うため、債務者自身が直接交渉する必要がなく、心理的な負担も軽減されます。
一方、おまとめローンは金融機関からの郵便物が自宅に届くため、家族に借金問題が知られるリスクがあります。
特に、返済に関する書類や通知が自宅に届く場合、家族に見られる可能性が高くなります。
このため、家族に借金問題を知られたくない場合には、注意が必要です。
おまとめローン・任意整理が向いている人
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借金返済に悩んでいる方で、おまとめローンや任意整理のどちらが適しているかは、個々の状況によります。
以下では、おまとめローン、任意整理が向いている人について解説します。
おまとめローンが向いている人
おまとめローンが向いている人は以下となります。
- 信用情報が良好な人
- 複数の借入先がある人
- 金利の高い借入をしている人
- ブラックリストに載りたくない人
信用情報が良好な人
おまとめローンは新たな借入を伴うため、金融機関の審査が必要です。
過去に返済遅延がない、または現在の収入が安定している場合、審査に通りやすくなります。
複数の借入先がある人
複数の金融機関から借り入れがある場合、返済管理が複雑になりがちです。
おまとめローンを利用すると、複数の金融機関からの借入を一本化し、返済を一元化できます。
これにより、返済の手間が減り、計画的な返済が可能になります。
金利の高い借入をしている人
現在の借入金利が高い場合、おまとめローンで低金利のローンに借り換えると、総返済額を減らせます。
ただし、金利が下がらない場合や返済期間が延びる場合は、総返済額が増えるリスクもあります。
ブラックリストに載りたくない人
任意整理では信用情報に事故情報が記録され、新たな借入やクレジットカードの発行が難しくなります。
一方、おまとめローンではそのような影響はなく、信用情報への影響を避けたい人に適しています。
任意整理が向いている人
任意整理が向いている人は以下となります。
- 借金返済が困難な人
- 信用情報に問題がある人
- 月々の返済額を減らしたい人
- 家族に借金問題を知られたくない人
借金返済が困難な人
任意整理は、弁護士や司法書士が債権者と交渉し、返済条件を変更する手続きです。
将来の利息をカットするため、総返済額を減らし、返済可能な範囲内での返済計画が立てられます。
借金返済が困難な状況にある人にとって、有効な解決策となります。
信用情報に問題がある人
おまとめローンの審査に通らない場合でも、任意整理であれば信用情報に問題があっても利用可能です。
債権者との交渉により返済条件を見直し、無理のない返済計画を立てられます。
月々の返済額を減らしたい人
任意整理では将来利息がカットされるため、毎月の返済額を抑えられます。
これにより、返済負担が軽減され、経済的な安定を取り戻せます。
家族に借金問題を知られたくない人
任意整理は、弁護士が債権者との交渉を代行するため、家族に知られずに手続きを進められます。
そのため、家族に知られたくない人には、任意整理が向いています。
まとめ
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おまとめローンと任意整理は、借金返済の負担を軽減するための方法ですが、それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解した上で、自分に適した方法を選ぶのが重要です。
おまとめローンは、審査が通れば利用可能であり、返済条件が有利になる可能性があります。
任意整理は、将来利息のカットにより確実に返済総額が減り、専門家が交渉を代行するため心理的な負担が軽減されます。
どちらの方法を選ぶにしても、計画的な返済が重要です。
再び借金問題に陥らないよう、おまとめローンか任意整理を考えている人は、どちらにするか慎重に検討しましょう。
最後まで見てくださり本当にありがとうございます!