給料が差し押さえられた場合の対処法を徹底解説!

みなさんこんにちは、弁護士の杉山です。

借金などの返済を長期間にわたって滞納していると、債権者は、債務者の財産を差し押さえる、という強制執行という手段に出てきます。

この場合によく差し押さえられているのが「給料」です。

そして、給料を差し押さえられてしまうと、毎月受け取れていた給料の額が減ってしまって、生活に困窮し、借金問題を抱えていたことが会社にバレてしまうなど散々なことになります。

では、こういう事態に陥ってしまった場合、どうしたらよいのでしょうか?何か上手い解決策はあるのでしょうか?

そこで、今回は「給料を差し押さえられてしまった場合の対処法」についてわかりやすく解説していきます。

すでに、給料の差し押さえを受けてしまって何とかしたいと思っている方、いずれ給料を差し押さえられてしまうのではないかと心配しているという方、

また、給料を差し押さえられときの対処法について興味があるという方は、

ぜひ、参考にしてみてくださいね。

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給料が差し押さえられるとどうなる?

最初に、「給料の差し押さえ」について、かんたんに説明します。

債権者は、債務者が、任意に返済をしてくれない場合には、裁判所に対して訴えることができます。

この訴訟は、債権者が原告となり、債務者を被告として、起こします。このような訴えは、裁判所に「訴状」という書面を提出して行います。

訴状の中で債権者は「被告は原告に対し、金~~万円を支払え、との判決を求める」と書き、裁判所に対して、判決を求めます。

そして、原告側の主張に言い分があり、特に被告側からの反論がなければ、判決は、原告が求めたとおりの「被告は原告に対し、金~~円を支払え」という内容の判決をくだします。つまり、原告勝訴の判決です。

債権者は、この民事訴訟で、このような勝訴判決を得て、この判決が確定すると、債務者の財産に対する強制執行をすることができるようになります。

このような原告勝訴の判決は、被告が判決の送達を受けた翌日から、14日以内に控訴という手続きをとらないと、確定します。

つまり、判決が自宅に送られてきてから、その日を含め15日間放置すると、判決は確定しており、強制執行が可能となります。

強制執行は、債務者のいろいろな財産に対して可能です。

例えば、土地や建物があれば、これに対して強制執行できますし、債務者がだれかに対する金銭債権、つまり、お金を支払ってもらえる権利を持っていれば、これを差し押さえて、債務者の代わりに取り立て、自分の債権の弁済に充てることができます。

このような債権として、多くの人が持っているものに、預金債権、つまり、銀行に預けてあるお金を引き出すことができる権利があります。

そのほかに給料債権、つまり、雇い主である会社などから給料を支払ってもらえる権利、これも債権の一種です。

そこで、この給料債権も、債権者は差し押さえることができます。ただし、給料は、その人の生活を支えているものです。

給料全額を差し押さえてしまうと、債務者は生活ができなくなってしまいます。

そのため、他の債権とは異なり、若干、特殊な扱いがされています。

給料の4分の1までしか差し押さえされない

どういう扱いかというと、全額を差し押さえることはできず、原則として、月給の手取りの4分の1までしか差し押さえることができないとされています。

ですから、例えば、手取り20万円の人であれば、5万円が差し押さえ可能で、15万円は債務者の手に残されます。

手取り30万円の人ならば、7万5千円が差押え可能で、22万5千円は債務者の手に残される、ということです。

ただ、この債務者の手に残される金額というのは、債務者の生活を壊さないための配慮です。

給料が高くなった場合は、手取りの4分の3まで残す必要はなくなります。

そこで、月給の手取りが44万円の場合は、債務者の手元に残される金額は33万円ですが、

手取りが44万円よりも高い人については、この33万円を超えた全額が差し押さえの対象となる、とされています。

多くの人にとっては、ざっくり次の手取りの4分の1が差し押さえられると考えておいてよいでしょう。

そして、給料が差し押さえられると、裁判所から雇用主である会社などに通知が行き、この差し押さえられた部分については、債務者に対して支払われないことになります。

ですから、給料が差し押さえられると、会社にも知られることになり、手取りは4分の3になってしまうため、生活も大変になります。

そして、この差押えの効力は、毎月毎月、債権が完済されるまで続くことになります。

給料差し押さえの対処法

では、このような給料の差し押さえを受けてしまった場合、どのような対処法があるでしょうか?

たとえば、単に、給料差し押さえの効力から逃れるというだけであれば、退職したり、転職したりすれば、その効力から逃れることができます。

しかし、これは、このような事態に対する対処法としては、本末転倒でしょう。

せっかくきちんと働けている職場を捨てて、次の職場を求めたからと言って、きちんと就職できるという保障はありません。

また、前の職場と同じだけの給料を取れるという保証もないからです。

そして、給料差し押さえから逃れるために、次々に転職などしていたら、おそらく労働条件はどんどん悪いものになってしまうことでしょう。

つまり、「逃げる」のではなく、真正面から対応することが大切です。具体的な対処法は以下のとおりです。

  1. 差押禁止債権の範囲の変更の申立て
  2. 債務整理

それぞれ詳しく解説していきます。

差押禁止債権の範囲の変更の申立て

まず、法律上用意されている方法として「差押禁止債権の範囲の変更の申立て」というものがあります。対処法の第1はこれです。

どういうものかと言うと、先ほど、給料は、手取りの4分の3は、差押えをすることができず、4分の1だけ差押えをすることができると説明しました。

この範囲を変更してくれるように裁判所に申立てをするということです。

たとえば、毎月の手取りが20万円の債務者が給料を差し押さえられた場合、差押えの範囲は、法律の規定によれば、4分の1の5万円となります。

しかし、残りの15万円だけでは生活できない、ということであれば、差押えの範囲を縮小してほしい、つまり、一部を取り消してほしいと裁判所に申立てをすることができます。

これにより、場合によっては裁判所の判断により、差し押さえの範囲が3万円になる、ということも考えられます。

ただ、この方法は、裁判所に対する申立てという方法をとらなければならないため、法律の素人である一般の人にとっては、やりにくいというのが難点です。

そこで、現実的には、やはり弁護士に依頼して手続をとってもらう、ということになるでしょう。

債務整理

しかし、弁護士に依頼するのであれば、私がオススメするのは、この機会に「債務整理」し、借金問題について包括的に解決してしまうという方法です。これが第2の対処法です。

弁護士に委任して債務整理をすれば、給料が差し押さえられてしまったタイミングからでも可能です。

また、債務整理の結果として、給料の差し押さえは外れ、借金問題の解決へ道が開けるということは、ごく一般的にあります。

借金の滞納から給料の差押えまでの道のりは、それほど急なものではありません。

最初は、債権者からの電話や手紙による督促が来ますし、その後、債権者が訴えを起こせば、裁判所からの呼び出しも来ます。

そうしたそれぞれのタイミングで、給料の差押えという事態に至らずに問題を解決することができる選択肢というものは、実は存在していたんです。

ただ、そうした解決のための選択肢をつかみ取ろうとはせず、困った現実から目を背け、なんとかこの嵐が通り過ぎてくれないかと、虚しい希望に取りすがっていたことによって行き着いたのがこの「給料の差し押さえ」という最悪の結果です。

そうだとすれば、やるべきことは決まっています。この際だから、あなたのことを苦しめている借金問題を、根本的に解決するための道へと一歩踏み出すことにしましょう。

給料を差し押さえられたからって、すべてが終わったわけではありません。もう手遅れで打つ手がない、というわけでもありません。

その一方で、自分から動かなければ何も変わりません。逃げて、逃げて、逃げ切れるものならよいですが、そういうものではないんです。

「もっと早く動いていれば」なんて過去のことを言うのは止めましょう。過去は変えられませんが、未来は変えられます。そして、未来を変えるのは、今の決断です。

私としては「給料が差し押さえられた」のであれば、この機会に債務整理をし、借金問題を抜本的に解決することをオススメします。

これが、私の最もオススメする対処法です。

まとめ

いかがでしたか?

今回は、「給与が差し押さえられてしまった場合の対処法」についてご紹介しました。給料の差押えは、借金を滞納したからと言って、いきなり来るものではありません。

そして、給料を差し押さえられた場合でも、その全額ではなく、毎月の手取りの4分の1だけが差し押さえの対象となります

また、対処法は2つありましたが、「差押禁止債権の範囲の変更の申立て」のために弁護士に委任するくらいなら、債務整理をして、借金問題を抜本的に解決することを試みるほうが、私としてはオススメです。

本記事の内容が、少しでもお役に立っていれば幸いです。