みなさんこんにちは、弁護士の杉山です。
借金問題を解決するために任意整理を考えている方の中には、任意整理をするとETCカードが使えなくなるのでは?と心配の方もいるのではないでしょうか。
しかしこのような不安は、ETCカードとはどのような仕組みのものなのか、任意整理後にETCカードが使えないなら、これに代わるキャッシュレス決済の手段としてどのような対処法があるのか、を知ることによって自ずと解消されます。
そこで今回は「ETCカードを利用している人が任意整理を考えたときに知っておくとよいこと」について、現役の弁護士である私・杉山がわかりやすく解説していきます。
任意整理をするとETCカードは利用できなくなるのか?また、利用できなくなった場合にはどのような対処法があるのか、についての不安や疑問がある方や、
普段から高速道路をよく利用していて興味があるという方は、ぜひ、参考にしてみてくださいね。
任意整理とETCカードの関係性

まず、最初に、ETCカードとはどのようなものかについて簡単に確認しておきましょう。
ETCカードとは、有料道路を利用した際の通行料金を、ETCシステムを利用して精算するためのICカードのことです。
ETCカードは、車に搭載された専用の機械に挿入しておくだけで、有料道路の出入り口や料金所で自動的に通行料金を精算してくれるので、支払いの手間がなく、便利なカードだと言えます。
ETCカードは、以下の3つに大別されます。
(1)「ETCカード」;クレジットカード会社が発行
(2)「ETCコーポレートカード」;東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社の3社が発行
(3)「ETCパーソナルカード」;高速道路6会社が共同発行
これらのうち、一般に広く「ETCカード」と呼ばれているものは、クレジットカード会社が発行しているものです。
このクレジットカード会社の発行する「ETCカード」は、原則的には、通常のクレジットカードを親カードとして、これに付帯して発行されるものです。
任意整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録され、いわゆる「ブラックリストに載った」という状態になってしまい、ETCカードの利用に問題が出てきます。
具体的には、そのETCカードを発行しているクレジットカード会社との間で任意整理を開始すると、クレジットカードの利用契約が解約され、そのクレジットカードが直ちに使えなくなるため、ETCカードも使えなくなります。
一方、そのETCカードを発行しているクレジットカード会社を任意整理の対象から外している場合、信用情報を確認されない限り事実上使えます。
ですが、更新のタイミングなどでそのクレジットカード会社が信用情報を確認すると、その時点で使うことができなくなります。
それ以外にも、何らかの事情で信用情報が確認されると、やはり使うことができなくなってしまいます。
任意整理後にETCカードを使うとどうなる?
実際、使えなくなったETCカードをそのまま車載器に差しておくと、車載器にカードを挿入していても通行料金が決済がされないため、料金所などのゲートに設置されている紅白のシマシマのバーが開きません。
そこで、車が停止できなければ、フロントガラスにあのバーが直撃します。
私は、利用期限の切れたカードを挿入していたために、そういう目に遭ったことが一度あります。
単にビビるというだけではなく、次の料金所の事務室などで手続きをとらなければならないので、かなり面倒でもあります。
以上のように、これまで使ってきたETCカードは、任意整理をはじめると、直ちに使うことができなくなります。
あるいは、更新などのタイミングで使うことができなくなります。
そして、新しいETCカードも作れません。理由は、ブラックリストに載っている状態では、新規にクレジットカードを作ることができないからです。
任意整理後にETCカードを使う2つの方法

しかし、ETCカードにはクレジットカード会社の発行する、一般的な「ETCカード」のほかに、「ETCコーポレートカード」、「ETCパーソナルカード」の3つがあります。
これらの2つのETCカードであれば、任意整理をした後であっても、利用できる可能性があります。
①ETCコーポレートカードの場合
ETCコーポレートカードは、ネクスコ東日本、中日本、西日本の3社が発行しているもので、法人の経営者や個人事業主であれば、任意整理をしていても、利用できる可能性があります。
また、ETCコーポレートカードは、ネクスコ3社に対して直接申し込む場合と、事業組合などを経由して申し込む場合とがあります。
ETCコーポレートカードには、クレジット機能がないため、利用料金は後払いになります。
そのため、事前に保証金を預託しておく必要があり、その額は利用料金の4倍です。
②ETCパーソナルカードの場合
次に、ETCパーソナルカード、いわゆる「ETCパソカ」についてです。
これも、ETCの支払いのみに利用できるカードで、クレジット機能は付いていません。
与信の審査に代えて、保証金を預託しておくことで発行されるため、信用情報機関への照会がされません。
つまり、債務整理を開始した後であっても、発行されます。
ETCパーソナルカードの発行を受けるためには、申込みの際に、有料道路の月平均利用額を申告し、その4倍にあたる金額をデポジット(保証金)として預託することを求められます。
つまり、毎月平均して1万円の通行料金を使う人であれば、あらかじめ4万円のデポジットを預託しておかなければなりません。
そして、毎月の利用料金は、指定した預金口座から月ごとに引き落とされます。
以上のとおり、任意整理をすると、クレジットカードに付帯している通常の「ETCカード」は使用できませんが、「ETCコーポレートカード」や「ETCパーソナルカード」であれば利用できます。
しかも「ETCコーポレートカード」の場合には、発行に条件がありますが「ETCパーソナルカード」であれば、だれでも発行できます。
どうしても有料道路を利用しなければならないという人でも、これを利用することで、任意整理後も、それまでと同様に有料道路を利用することが可能です。
そのため、あらかじめこれらのカードを作っておけば、任意整理を始めても、高速道路が利用できなくなって急に戸惑う、という事態を防ぐことができます。
まとめ
いかがでしたか?
今回は「任意整理をするとETCカードはどうなるのか?」についてご紹介しました。
世間でよく使われている通常のETCカードは、クレジットカード会社が発行するクレジットカードに付帯するカードであるため、
任意整理をして、信用情報機関に事故情報が登録された、いわゆる「ブラックリストに載った」という状態になると、遅かれ早かれ、利用することができなくなってしまいます。
しかし、ETCカードには、その他に、ETCコーポレートカード、ETCパーソナルカードがあり、これらは任意整理をした後でも、利用することが可能です。
そのため、このようなETCカードをあらかじめ発行しておき、ETCカードが使えなくなって戸惑うという事態を未然に防げるようにしておきましょう!
本記事の内容が少しでもお役に立っていれば幸いです。



