みなさんこんにちは!弁護士の杉山です。
最初は少しだけのつもりでしていたのに、気づくといつの間にか大きくなっているというのが借金です。
「このままだと一生借金を返して終わるのか」「借金生活から早く解放されたい」と不安になる方は少なくないでしょう。
また、このような漠然とした不安ではなく、「明日の返済をどうしたらいいか、いますぐに知りたい」という切羽詰まった状態の方も、中にはいらっしゃるかもしれません。
そこで、今回は、借金問題の状況に応じて、状況別にそのまま放置しておくとどんなことが予想されるか?いま何をすべきなのか?
ということを、現役の弁護士である私、杉山が、わかりやすく解説していきます。
今、まさに「借金に追い詰められた」と感じている方、また、今はまだ追い詰められていないけれど、近い将来そうなりそうだと不安に感じている方、
あるいは、自分自身に借金問題はないけれど、周囲に借金問題を抱えている友達がいるのでアドバイスしてあげたいと考えている方は、ぜひ、最後までご覧ください。
借金滞納で裁判所から呼出状が届いた場合
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では早速、状況別に3つに分けて、これから予想される展開と、いまなにをすべきなのか、について症状の重い順に解説します。
第1は、裁判所から呼出状が届いたという状況です。
この状況は、すでに借金の返済をかなり滞納したために、金融機関などの債権者が、しびれを切らして民事訴訟を提起したという状況です。
今後の展開
この状況を放置しておくと、今後、敗訴判決を受けて、強制執行されるという展開が待っています。
強制執行とは、財産が差し押さえられるということで、給料が差し押さえられることが多いです。
ふつうの人であれば、給料の4分の1が差し押さえられて、それが強制的に借金の返済に当てられることになりますし、もちろん借金問題について会社に知られてしまう、という状況です。
対応策①
そこで、このような状況になってしまった場合の対策ですが、まずは、裁判所からの手紙に書かれていることに対応します。
裁判所からの手紙には、「何月何日に第1回の口頭弁論が開かれるので出頭してください。」「何月何日までに答弁書を提出してください」と書かれているはずです。
そして、この2つのことを両方とも放置した場合、この裁判では、ほぼ自動的に負けてしまいます。その後は、先ほど説明したように、強制執行となるのがふつうです。
では、このような展開にならないためにどうしたらよいか?
一番オススメなのは、やはり直ちに弁護士に相談に行くことです。
対応策②
ただ、すでに裁判所からの手紙が来て、相当期間放置してしまっている場合、そこで、例えば、呼び出されている期日が明日である、という場合は、これから弁護士に相談に行くには時間的余裕がないので、次の2つのうち、いずれかの方法をとってください。
1つは、出頭することです。
これが一番簡単な方法で、呼び出されている時間までに裁判所の法廷に行きます。
呼び出された時間に法廷の傍聴席に入り、出頭カードに、出頭した旨を記入して待っているとそのうち、名前を呼ばれますので、法廷の柵の中に入り、被告席に座ります。
発言を求められたら「これから弁護士を委任する予定なので、正式な答弁は次回期日にしてください」と話します。
すると、とりあえずその期日は、被告側の手続は何もせずに、その期日は終了しますので、その後、速やかに弁護士に相談してください。
もう1つは、答弁書を提出する方法です。
これは、呼出状に書かれている答弁書の提出期限よりも遅れていても大丈夫です。
ただし、呼び出されている日の期日時間までには提出する必要があります。裁判所からの手紙には、答弁書の用紙が入っていますが、用紙は、何を使っても構いません。
裁判所、事件番号、事件名、当事者を書いたうえで「答弁書」と書いて、その紙が、どの裁判所の、どの事件の答弁書なのかを判るようにします。作成者として、自分の名前を書きます。
内容としては、一番簡単なのは、「弁護士に委任する予定なので、正式な答弁は後日にしてください。弁護士が決まったら、その弁護士から連絡します。」と記載します。
答弁書を提出する方法ですが、直接持って行く方法、郵送で送る方法、FAXする方法があります。
郵送する場合は、最近は、レターパックだと、追跡ができるので便利です。期日が迫っている場合は、郵送だと間に合わない可能性があるので、直接持って行くか、FAXします。
裁判所が遠方の場合は、FAXが便利ですが、その場合は、FAX番号を間違えないように注意する必要があります。
誤送信してしまったら、もちろん、提出とはなりません。
そこで、FAXで提出する場合は、念のため裁判所に電話を掛け、担当書記官に、届いているかどうかを確認をするほうがよいでしょう。
直接裁判所に持って行く場合は、担当の裁判所に、平日の午前9午後5時までの間に持って行き、担当部のカウンターで提出するのが原則です。
ただ、その時間帯に行くことが難しい場合は、裁判所には、時間外提出用に、夜間ポストか夜間受付窓口があるため、そこで提出できます。
すでに債権者から裁判を起こされてしまった場合には、まずは、その裁判で負けが確定してしまうことを防止したうえで、できるだけ早く弁護士に相談に行く、というのが最良の策です。
借金の一括返済を求められた場合
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第2は、まだ裁判は起こされていないけれども、すでに返済を滞納し
債権者から借金の一括返済を求める督促の手紙や電話が来ている、という状況です。
今後の展開
このような状況になったとき「借金に追い詰められた」と感じる方も少なくないでしょう。
借金の返済を滞納して、1か月以上が過ぎると、このような状況となります。
このような状況になると、債権者の側でも、あなたに対する貸付けを自己案件と把握しますので、場合によっては、信用情報機関に事故情報として報告するでしょう。
そうなると、これはいわゆる「ブラックリストに載った」という状態なので、新規の借入れはできなくなりますし、クレジットカードもいつ使えなくなってもおかしくない、という状況です。
もちろんこうした状況をさらに放置していると、債権者は、しびれをきらして、民事訴訟に訴えてきます。
つまり、第1で説明した状況へと発展することになります。
対応策
その前段階である、このような第2の状況は、いわゆる債務整理が必要な状況です。
債務整理は、借金問題を法的に解決する手段や方法ですが、この段階では、もはやそういう手段・方法をとることが必要な段階と言えます。
そして、債務整理を行うのであれば、やはり、専門家である弁護士に相談するのが、最も確実だといえます。
個人がよく利用する債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産の3つがあります。
特に、個人再生と自己破産は、裁判所に申立てをする手続で、債務者が自力で行うのはかなり困難です。
一方、任意整理は、債権者と交渉して行う方法であるため、債務者が自分ですることも不可能ではありません。しかし滞納がある程度まで及び、いわば「こじらせてしまった」状態では、難航することが予想されます。
また、債権者が複数ある場合、全体の状況を見て、返済計画を立て、債権者との交渉をし、個々の返済条件を決める必要があります。
この場合も、やはり専門家に頼んだほうが、無理のない返済条件でまとまることが多いです。
弁護士に債務整理を委任する場合に、弁護士費用なんて出せないから相談に行くのを躊躇しているという方も多いのではないでしょうか?
しかし実は、任意整理をする多くの方が、弁護士に委任できているんです。
その理由は、弁護士に債務整理を委任すると、弁護士は、その旨を債権者に伝える「受任通知」という手紙を債権者に出すからです。
債権者は、受任通知を受け取ると、一旦、債務者に対する取立てを停止します。
そのため、弁護士に委任したことによって、債権者への返済が一旦止まり、ここで、若干の金銭的余裕ができるため、その中から弁護士費用を捻出できるんです。
これが、多くの方が、任意整理を弁護士に委任することができている理由です。
弁護士からの受任通知によって、債権者からの取立てが止まることは、もちろん、経済的なメリットもありますが、それにも増して、取立てから解放される精神的メリットが大きいと思います。
そのため「借金に追い詰められた」と感じたら、まずは弁護士に相談することがオススメです。
借金を新たな借金で返済している場合
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第3は、まだ借金の返済は約定どおりにできているけれど、借金の額は、毎月徐々に増えてきているし、気づけばかなりの額になってしまって、この先どうなってしまうのか考えるとコワイ、という状況の場合です。
この状況は、簡単に言えば、あなたの毎月の収入から生活費などを引いた残額、つまり、あなたの返済可能額では、毎月の借金の返済ができていない、という状況だと言えます。
これは、言い方を変えると、毎月新たな借金をすることで、借金の返済をしつつ、毎月のお金を回しているという状況、つまり、借りて返してを繰り返している自転車操業の状態と言えます。
そう言われると、「いや、借金の返済をするために、お金を借りてなどいない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに「返済のために借金をする」ということはしていないかもしれませんが、クレジットカードで買い物の決済をして、その決済が、翌月一括ではなく、分割払いやリボ払いになっている場合は、翌々月以降に借金が持ち越されているのです。
これは、毎月の返済額よりも、毎月の新たな借金額のほうが多いということであり、結局は、新たな借入れをすることで、毎月の返済をしている、という状況です。
今後の展開
では、このような状況を続けていると、そのうちどうなるでしょうか?
借金の額がだんだんと増えて行き、クレジットカードの利用限度額までに達すると、その時点で、クレジットカードが使えなくなります。
そうして、すべてのクレジットカードが使えなくなる、つまり、新たな借金ができない状態になると、この自転車操業は破綻します。
毎月の生活費から、生活費を引いた残額、つまり、返済可能額では、毎月の返済額には足りない、という状況になります。
そうなると、必然的に、借金の返済は滞納せざるを得ないことになり、状況は、必然的に、すでに述べた第2の状況へと移行することになります。
そうなれば、ブラックリストにも載ることになり、クレジットカードを利用することなどもできなくなってしまいます。
それはそれで、生活上の不便を強いられる状況と言えます。
では、そのような状況に至る前に、これを回避することはできないのでしょうか?
対応策
先ほど述べたように、第2の状況は、もはや債務整理が必要な状況でした。
これに対して、第3の状況は、まだそれに至る前段階です。
そこで、この状況の場合は、必ずしも債務整理をしなければ借金問題から抜け出すことができない、という状況ではありません。
この場合は、まだ、いくつかの方法で、第2の状況に至ることを回避し、最終的に、借金生活から抜け出すということができる可能性もあります。
このような「借りて返して」を繰り返している自転車操業の状況の場合、そのような状況になる1つの原因として、「クレジットカードのリボ払いに発生する手数料」つまり、利息が高い、ということがあります。
一般的に、リボ払いの場合に発生する手数料は、利用額の年15%です。
これは、かなり高い金利と言えます。
そのために、利用額が増えると、毎月の返済額のほとんどが、その利用料の支払いに消える、という状態になります。
そうなると、元本がほとんど減らず、利息ばかりを返している、ということになるのです。
そこで、このような状況から脱却するためには、「利息の高い借金から利息の安い借金、あるいは無利息の借金へと借り換える」というのが1つの方法です。
例えば、家族などに事情を話してお金を貸してもらい、クレジットカードの利用料金は全額支払い、以後は、その借金を支払ってゆくという方法。
あるいは、いわゆる「おまとめローン」などを利用して、年3%程度の利息の借金に借り換える、という方法です。
これによって、毎月、少しずつでも借金が減っていく状況を作り出せれば、時間はかかっても、最終的には借金生活から抜け出すことは可能で、少なくとも、第2の状況へと進むことはありません。
ただ、できるだけ早く借金生活から抜け出したいと考えるのであれば、併せて、生活習慣を改善して節約し、毎月の返済額を増やすという方法、また、この段階で任意整理を利用するという方法もあります。
なお、任意整理に関しては「【完全版】任意整理のメリットとデメリットを現役弁護士が完全解説」こちらの記事で詳しく解説しています。
興味のある方は、ぜひご覧ください。
まとめ
今回は、「借金に追い詰められた場合にどう対処すべきか」について3つの典型的な状況を取り上げ、それぞれの展開と対応策を解説しました。
第1〜第3の状況のいずれにしても、借金問題に対処するためには積極的に専門家に相談し、早期の解決を図ることが重要でした。
私が在籍している華鼎国際法律事務所でも、借金問題やその他さまざまな法律問題についての相談や弁護依頼を受け付けています。
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1人で悩まず誰かに打ち明けることで気持ちが楽になることもあります。そして、その小さな一歩が、あなたの抱えている問題を解決するための、小さくて大きな一歩となることもあります。
些細なことでもぜひLINEを送っていただければと思います。